掲載日 2021年01月20日

株式会社バカン

【提供目的】
  • 事業・業務の見える化
  • コスト削減
  • 収集情報を活用した付加顧客サービス提供
  • 顧客へのサービス対応・サービス品質向上
  • 最適経路・プロセスの選択
  • 変動する需給バランスの最適化
  • その他(新型コロナウイルス感染を防止するための3密の回避)

【活用対象】

  • 企業顧客
  • 一般顧客
  • その他(自治体)

IoT導入のきっかけ、背景

 当社は、「いま空いているか1秒でわかる、優しい世界をつくる」ことをミッションとして、あらゆる店舗・施設・場所の空き情報の配信サービスを提供するベンチャー企業である。

 外出した際に、入店待ちの行列で長時間待たされた、トイレの空きが見つからず探し回ったということは誰もが経験することである。これらは「空き具合」がわからないために、とにかく行ってみるしかないことから起きている。この空きがわからないことがストレスを生む。例えば、休日に家族との団らんのために外出した際に長時間の行列で子供がぐずり出すと、ストレスが全員に伝わりせっかくの外出が気まずい体験になってしまう。空き具合がわからないストレスによって体験が損なわれるのである。

 そこで空きを可視化することが考えられるが、その実現は簡単そうに見えて実は難しい。空きがわからないという状況は、店舗、トイレ、公共施設などの様々な場所で発生し、最適な空きのセンシングや判定方法が場所ごとに異なるためである。そのため、特定の場所専用ではなく、あらゆる店舗・施設の空きを可視化するためには、空き情報の収集や配信の共通機能を網羅したプラットフォームが必要となる。

 あらゆる店舗・施設の「いま空いているか」の可視化を実現するために、当社はリアルタイム空き情報プラットフォームVACAN(バカン)を開発した。VACANが提供する各種のセンサー情報収集機能と空きの判定アルゴリズムを柔軟に組み合わせることによって、ホテル・旅館、レストラン・カフェ、大規模商業施設、駅・空港などの様々な場所で空きを可視化するサービスを展開している。

 

IoT事例の概要

サービス名等、関連URL、主な導入企業名

名称:リアルタイム空き情報プラットフォームVACAN
 

サービスやビジネスモデルの概要

 VACANは、図-1に示す様々な店舗・施設の空きを1秒でわかるようにするために、その場所に適したデータの収集、分析と可視化を、毎回1から開発することなく実現するプラットフォームである。VACANを使用して様々な空き情報サービスを作り出すことができる。

 VACANの適用例として、レストランのケースを紹介する。レストランの空きを正しく把握するためには、店内に人が何人いるかのカウントだけでは不十分である。例えば、店内に20名の来客がいる際に、20名が5つのテーブルを使っている場合と7つのテーブルを使っている場合では、追加で来店できる人数が異なる。すなわち空きは人数だけでは測れず、テーブルの利用状況も加味する必要があるのである。そこでVACANでは、カメラや各種センサーを利用して店内の空きを多角的に収集・分析し、「空きあり」「やや混雑」「満席」という分かりやすい情報に変換してスマートフォンやサイネージに配信することによって可視化を行う。

 レストランというカテゴリの中でも、店舗のレイアウトなどによって最適な空きのセンシング方法が変わる。そのため当社では、お客様からの問い合わせをいただいてから、メールなどでのやりとりや現地調査によって、お客様ごとに最適化したサービスを提供している。この最適化はVACANプラットフォーム上で行うことができる。毎回1からシステム開発を行う必要がないため、最短の期間で安価にお客様ごとに最適なサービスが提供できる。

 VACANを使用したサービスの料金は、センサー設置などの初期費用と月額費用で構成されている。

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図-1  VACANのサービス領域
(出所:バカン提供資料)

 

内容詳細

VACANを使った代表的な空き情報配信の事例を示す。

(1) ホテル・旅館の混雑可視化

 コロナ禍によって、ホテル・旅館の中で人が集まる大浴場やレストラン、フロントでの密の回避が求められている。そこで、館内の混雑状況を宿泊客のスマートフォンに配信することによって、混雑状況を事前に確認し安心して館内施設を利用できるサービスを提供している。本サービスによって、密の発生に対する不安を無くし宿泊体験を改善できる。

 配信した情報を宿泊客が簡単に受け取れることも重要である。本サービスでは、宿泊客が自身のスマートフォンを使って、フロントや客室にあるQRコードをスキャンすることで混雑状況を確認することができる。表示にはスマートフォンのブラウザを使用するため、アプリをインストールすることなく来館したらすぐにサービスを利用できる。加えて、館内のサイネージや客室内のテレビなどの複数の配信手段を使うことが可能である。

 混雑状況のセンシングは、設置場所や運用方法などに応じて以下のタイプを選択することができる。

 

【例1】 人の入退出を自動カウントする機器を設置

 浴場の脱衣所入り口などに人の出入りを自動でカウントするステレオカメラを設置し、混雑状況を自動的に更新する(図-2を参照)。この方式は、浴場や脱衣所のように、プライバシーへの配慮から室内にカメラを設置できないケースに有効である。

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図-2 ステレオカメラを使用した入退出のカウント
(出所:バカン提供資料)

 

【例2】 混雑状況を自動判定するカメラを設置

 フロントやラウンジを見渡せる位置に小さなカメラを設置し、取得した画像をAIで解析することで混雑状況を自動的に更新する(図-3を参照)。AIカメラでは、人数のカウントだけでなく、人の密度や分布を加味した混雑状況の判定を行うことができる。

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図-3 AIカメラを使用した混雑の検出
(出所:バカン提供資料)

 

【例3】 簡単操作できるボタン型機器(IoTボタン)を使用

 「空き」「やや混雑」「満」の3種類のボタンがついた専用IoTボタンを人が操作することで混雑情報を更新する(図-4を参照)。レストランなどスタッフが常駐している施設に向いており、自動検知よりリーズナブルな価格で、手軽に利用することが可能である。縦約10cm×幅約6cmほどの機器で、単独で通信ができ、電源コードを刺すだけで使用できる。

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図-4 簡単操作できるボタン型機器(IoTボタン)
(出所:バカン提供資料)

 

(2) 自治体と一緒になった街ぐるみの活用

 コロナ禍によって減少した観光地や商店街の人出を、安全を確保しながら取り戻すための取り組みが自治体で続いている。自治体には、自然災害が発生し住民の避難が必要になった際の避難所の混雑回避も求められている。こうした課題に対応するために、自治体と一緒になって街ぐるみで混雑状況を可視化する取り組みを行っている。

 群馬県桐生市の商店街らでつくる市民有志団体「Sukiryu(すきりゅう)」と共同で、市内の飲食店や小売店などの店舗や各種施設の混雑情報をスマートフォンからアクセスできるマップに表示するサービスを7月15日から提供している(図-5を参照)。桐生市とは、避難所の位置や込み具合を災害発生時にマップ上で確認できるサービスの提供も行っている。

 神奈川県藤沢市や江ノ島電鉄などの5社で、新江ノ島水族館や周辺の飲食店、道路、駐車場の混雑情報をマップ上に表示するサービス「ENOMAP」も提供している。

 スマートフォンなどのブラウザからアクセスでき、観光施設や飲食店、避難所などの位置や混雑情報をマップに表示するVACAN Maps(バカン マップス)もプラットフォームで実現している機能の一つである。

 

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図-5 桐生市での混雑情報配信
(出所:バカン提供資料)

概要図

 VACANが提供するプラットフォームの機能によって、街ぐるみで空きの可視化ができ、どこに行っても混雑や行列によるストレスがない、3密への不安がない、人に優しい社会が実現できる。こうした街ぐるみの取り組みを自治体と一緒に進めることによって、スマートシティの実現の一助になりたいと考えている。

 

取り扱うデータの概要とその活用法

  • ドアの開閉状態
  • IoTボタンが押された時のボタンの種別
  • ステレオカメラやAIカメラの画像データ
  • センサーの属性情報(センサーの種別やタイムスタンプなど)

 

事業化への道のり

苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間

 IoTのサービスを届けるためには、クラウド上のプラットフォームに加えて、センサーやゲートウェイなどを店舗・施設に設置する工事が必要となる。こうしたハードウェアの調達や工事などのデリバリー面は起業時に苦労した部分である。

 

技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの

 あらゆる場所の空きを可視化するためには、多種多様なセンシングと判定および配信を効率よく実現できるプラットフォームが必須であった。プラットフォーム化を行わないと、案件ごとに都度開発が必要となり、事業としてスケールしないためである。

 サービスを効率よく提供できるプラットフォームとするために、場所の特性に応じて使用するセンサーの種類や組み合わせを変更することで、場所に合わせて柔軟に対応できる「Configurable(変更可能)なサービス構築」を実現した。

 

今後の展開

現在抱えている課題、将来的に想定する課題

 VACANのようなサービスでは、空き情報を配信する店舗・施設が拡大し、空き情報を利用するエンドユーザーの利便性が高まることによって利用店舗・施設数が増えるという循環を作り出す必要がある。数々のサービスをリリースし利用者数も増えている中で、ユーザの利便性を高めながらVACANの認知度をさらに上げていきたい。

 多くの案件に対応するために、センサーなどのデリバリーをこれまでに蓄積したノウハウを生かしてシステム化したい。

 

強化していきたいポイント、将来に向けて考えられる行動

 自治体との連携を強化したい。街ぐるみの事例を増やすことによって「優しい世界をつくる」という当社のミッションを実現していきたい。

 

将来的に展開を検討したい分野、業種

 VACANのサービスの導入などを行うパートナー企業を募集している。例えば、宿泊施設とつながりがあり、一緒になってソリューションをお届けできる企業とのネットワークを作りたい。日本国内だけでなく、グローバルの観点でサービスを広げていけるパートナーも中長期的に探したい。

 

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