掲載日 2018年02月06日

株式会社NTTドコモ

【提供目的】
  • 収集情報を活用した付加顧客サービス提供
  • 顧客へのサービス対応・サービス品質向上
  • 利用者の生活や資産の見守り

【活用対象】

  • 一般顧客
  • 社会全般を対象に活用(地域情報、災害情報等を提供)

IoT導入のきっかけ、背景

 当社は、音声対話型のエージェントサービスとして「しゃべってコンシェル」を2012年からサービスしている。また、モバイル利用者のライフスタイルや居住地域に合わせた情報提供を行うエージェントサービス「iコンシェル」を2008年からサービスしている。これらのサービスは、屋外でのスマートフォン利用をサポートすることが基本であった。
 ところが、2014年頃から米国企業のAmazon社, Apple社, Google社が、自宅内で利用する音声対話型エージェント端末を発売した。これに伴い、国内でも同様なサービスを提供してほしいとの期待が高まってきた。また、しゃべってコンシェルなどで培った当社の日本語認識に関する技術優位性を活かす上でも、同様なサービスを提供すべきだろうとの判断に至った。そこで、上記の2つのエージェントサービスを連携させ、自宅内で利用するエージェントサービスとして2016年に「iコンシェル ホーム」をサービス開始した。

 

IoT事例の概要

サービスやビジネスモデルの概要

  • 利用者のご自宅に置かれていることが多いタブレット端末、それからスマートフォンをエージェント端末として活用する。将来的には、家庭内にあるIoTデバイス等と連携するエージェント機能への拡大を視野に入れている。
  • 自治体からの情報、スーパーの安売り情報など生活や地域に根ざしたコンテンツ提供を重視している。
  • 有料にてサービス提供。契約数については非公開。年代別には40-50歳代、女性と男性では女性がやや多い。

内容詳細

自宅に置いたエージェント端末に話しかけて操作。可能な操作は次のとおり。

  • 情報提供、サイネージ:天気、交通情報、地域情報、チラシ情報、占い
  • IoTデバイス制御:留守中の家族やペットの見守り及び防犯
  • 家族内での情報共有:予定(カレンダー)、買い物メモ

など

概要図

  • 日本語における高い音声認識率を活かし、定型の対話パターンによらない(いつ、誰が、どこで等定型の対話手順によらない)自然な対話を通した意図認識。
  • 自然なエージェント起動を実現するため、スタートアップワード(特定の機能起動時に呼び掛ける定型の言葉)によらない各機能・コンテンツの利用。
  • 地域性を踏まえた生活に役立つサポート情報の提供。

<地域行政情報>

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<チラシ情報>

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  • 自社技術を取り入れた高度な機能の実現。(人がいるがどうかの認識、精度の高い位置情報の活用)

取り扱うデータの概要とその活用法

  •   音声、画像、映像
  •   各種コンテンツ情報

 

事業化への道のり

苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間

  • 従来の「スマートフォンに話しかける形態」から「自宅内に置いた端末に話しかける形態」に対話の形態が変わるため、近傍ではなく少し離れた場所の音声を認識することが必要になった。このような環境変化に対応するため、生活雑音(TVの音声、水道の水の音等)の影響を考慮し認識率を確保する技術を開発。
  • サービス拡充にあたり斬新なアイデアを創出するため、外部からファシリテータを呼び「家の中でタブレットにより顧客の生活をサポートする」というテーマで合宿形式のアイデアソンを実施する、在宅時間の長い主婦層へ試作品を見せてヒアリングを行うなど試行錯誤を繰り返し短時間でサービス開発。

技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの

  • 基幹技術であるAI技術、音声認識技術は自社開発
  • システム基盤は、サービス提供の迅速さ、拡張性、柔軟性を考慮し、Amazon Web Serviceを活用

 

今後の展開

現在抱えている課題

  • 連続性のある自然な対話による意図認識の更なる向上
  • 生活雑音下における認識率の更なる向上

将来的に想定する課題、強化していきたいポイント

  • 家電や施錠等の家庭内IoTデバイスとの連携
  • 地域、生活に役立つコンテンツの更なる拡充
  • ユーザの属性把握による提供サービスのパーソナル化
  • 対話等の基盤オープン化

将来に向けて考えられる行動

  • 本サービスの対話ログデータを活用した、意図認識率、対話精度の向上に関する継続的な技術開発。話者認識技術を適用によるこれらの実現。
  • 家庭内のIoTデバイスとの通信、制御に関わる方式、規格標準化動向の把握。
  • サービス拡充・コンテンツ拡充に向けたビジネスモデルの検討。例えば、外部(例:当社による基盤提供+コンテンツ提供者)によるB2B型ビジネスモデルの検討。

連携を含めた強化分野

  • 生活、地域に特化したニュース、コンテンツの拡充に向けた、自治体やコンテンツ提供者との連携。
  • ユーザの行動を推定しサービスの一層のパーソナル化をサポート頂けるパートナー企業の模索。

 

本記事へのお問い合わせ先

株式会社NTTドコモ

iコンシェルサービス : https://www.nttdocomo.co.jp/service/iconcier/