掲載日 2024年05月16日


株式会社NTTドコモ

NTTコミュニケーションズ株式会社

【事例区分】
  • その他(AIを活用した学校向け製品・サービスの提供)

【関連する技術、仕組み、概念】

  • AI

【利活用分野】

  • 公共
  • その他(教育)

【利活用の主な目的・効果】

  • 生産性向上、業務改善
  • サービス・業務等の品質向上・高付加価値化、顧客サービス向上

課題(注目した社会課題や事業課題、顧客課題等)

 英語教育においては2016年度末に学習指導要領が改訂され、発信力の強化を図るため「書くこと」、「話すこと」が強化された。しかしながら、学校側で指導の時間が取りにくい指導ができる人材が潤沢にいないといった事情で十分には対応しきれていないのが実情である。また、生徒側から「ライティング」や「スピーキング」が強化された英検に対する学校側の指導の強化を望む意見もある。

 そのような状況の中、NTTドコモ(以下、当社)は、NTTコミュニケーションズが提供しているEnglish 4skillsというサービスに、当社が開発しているAI機能を組み込んだサービスである「AIライティング・AIスピーキング(English 4skills)」を提供している。本サービスは、個別最適な学習で英語力を向上させていくことを目標としている。

 本サービスには自動採点機能、課題配信機能があり教員の負担軽減につながっている。生徒に関しても移動時間を利用した学習で学習効率が上がり、成績向上につながっている。このサービスは、2023年8月時点で全国130の学校に導入され、約4万のIDをユーザである生徒に発行している。

 なお、当社の「AIライティング・AIスピーキング(English 4skills)」は、モバイルコンピューティング推進コンソーシアムの「MCPC award 2023」のAI&ロボット委員会特別賞を受賞している。

 関連URL:https://www.mcpc-jp.org/news/award.html#tab02

 

利活用の経緯(課題解決の鍵となる技術・アイディアの発想やビジネスパートナーとの出会い等活用に至った経緯)

 English 4skillsは当初AI機能なしで提供されていた。そうした中、「書く」「話す」といった生徒の能動的スキルを教員の負担を高めずに実現する手段としてAI機能の活用に注目した。具体的には、Transformer注1というAI技術を採点に使えるのではないかと気付いた。最初のステップとして「書く」スキルの向上を支援するために、AIを用いたライティングの採点・添削機能(AIライティング)を開発し2020年に搭載した。次に、「話す」スキルの向上を支援するために、AIを用いた英語スピーキング採点技術(AIスピーキング)を開発し2022年に搭載した。

 

事例の概要

サービス名等、関連URL、主な導入企業名

・AIライティング・AIスピーキング(English 4skills)

『英語スピーキング採点技術の開発』

  関連URL:https://journal.ntt.co.jp/article/22765

       https://journal.ntt.co.jp/wp-content/uploads/2023/07/nttjnl5103_20230801.pdf

『「English 4skills」にAIで和文英訳を採点・添削できる機能が追加!』

  関連URL:https://e4skills.com/news/article200325/index.html

 

サービスやビジネスモデルの概要

 AIライティングでは、和文英訳問題を自動的に採点する。従来の技術では模範解答にいかに近いかを基準に採点されていたが、AIを使用することで模範解答と表現方法が違っていた場合でも意味的な正しさの観点で採点できることが特徴である。図1の右側にある採点結果のように意味的に正しい回答であれば高い精度で採点が行える。文章を試し打ちしながら確認できることも学習効果向上につながっている。

 AIスピーキングについては、英検の2次試験で行われる面接試験を自動的に採点する。ユーザが発話した回答に対して、音声認識を用いてテキスト化した後で当社のAIで採点する仕組みとなっている(図2の左側)。また、従来の技術では、正答が複数存在するオープンクエスチョンに対しての採点は難しかったが、本技術では面接官の質問の意味的な対応を判断して採点、添削できる点が特徴である。

 面接練習を学校側が人手で実施する場合、一人当たり10分を要するとすると30名の生徒がいると300分かかることとなり、教員の負担が大きい。そうした中、この機能を使えば、生徒それぞれが面接練習を実施できるので教員の負担は大きく軽減できる。

 また、本サービスには、成績を管理する機能や、課題の配信機能もある。これらによってオンライン、ICT化することで、さらなる教員の負担軽減を実現している。

図1:AIライティングの採点方法、採点結果イメージ
(出所:NTTドコモ提供資料)

 

図2:AIスピーキングの採点方法、採点結果イメージ
(出所:NTTドコモ提供資料)

 

取り扱うデータの概要とその活用法

生徒の学習データを取り扱っている。

・回答結果
・採点結果
・ライティング、スピーキングの各種学習データ

 

事例の特徴・工夫点

価値創造

 得られた価値は、教員の負担軽減と生徒の学力向上である。移動時間に簡単に学習できる点も評価され、学習時間の増加につながっている。スマホ、タブレットなどのメジャーなOSにはすべて対応しているので、多くの端末で学習が可能である。中学生、高校生を対象としているので、堅苦しくないデザインにすることを心掛けている。

事業化時に苦労した点、解決したハードル、解決に要した期間

 5教科対応を求める学校も多いため、英語特化の本サービスを学校に導入してもらうことに苦労した。また、導入当初は、学校として導入してもなかなか教員に利用してもらえなかった。この解消のためにいろいろな取り組みを行ったが、導入事例の説明会が効果的であった。また、生徒の自主性に任せていては利用が進まないケースも多いため、課題配信機能などを利用して教員から生徒への働きかけることで利用率アップにつながった。このような地道な取り組みを継続することで、利用率を上げることができた。

重要成功要因

 サービスを提供するだけでなくサービスの活用状況をきっちりとフォローした点が、顧客満足度向上につながったと考えている。教員方のデイリー、マンスリーのアクティブ率を見て、アクティブ率が低い学校にはサービスをどう使うかについて相談しながら利用を促進した。また、教員の負担軽減に有効なAI機能(課題配信、自動採点など)をサービスとして提供できていることも成功要因となっている。

技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの

 本サービスの採点技術については、言語処理に関するオープンソースを活用して自社でエンジンを開発している。

 

今後の展開

現在抱えている課題、将来的に想定する課題、挑戦

 教育市場では様々なサービスが提供されている。その中で当社のサービスの魅力を高め、選んでもらえる状況を作っていくことが課題である。英語に限っても様々なサービスがあるので、選びたくなる強みを考えないといけない。新しい技術も大切だが、現在、中学や高校の教員が抱えている課題を一つひとつ解決していくことが大切だと考えている。

技術革新や環境整備への期待

 現在、提供しているのは和文英訳で回答ありきの採点機能である。今後は生成AIを活用することで自由英作文、エッセイといったライティングにも対応できるようにしたい。このため、生成AIの利用で問題となる著作権をクリアできるような環境整備に期待している。

強化していきたいポイント、将来に向けて考えられる行動

 強化していきたいポイントとしては、自由英作文の機能拡充が第一である。実装できるレベルになっているので近い将来には可能となる。また、お客様から寄せられている課題や要望に応えるため、サービスの品質や精度を改善してより良いものにしていきたい。

将来的に展開を検討したい分野、業種

 小学校向け、さらに大学、社会人向けへとAIの技術を搭載したサービスを広げていきたい。

 

本記事へのお問い合わせ先

株式会社NTTドコモ

NTTコミュニケーションズ株式会社

サービスサイト :   https://e4skills.com/