更新日 2019月06月25日
IoT導入のきっかけ、背景
当社は、NTTグループの一社としてインターネットと物理的に独立したグローバルなVPN(Virtual Private Network: 仮想専用線網)サービスの提供を行っている。特に、セキュリティ等の安全性に関わる要件レベルの高い金融分野や公共分野において、安全なシステム作りと運用に貢献してきた実績を持つ。
IoT市場は年平均成長率17%で拡大を続け、2021年には11兆円に達するといった華々しい予想データがある。IoTへの関心の高まりに合わせて、企業のIoT導入を支援する「IoT Platform」が乱立しており、各社差別化が難しく決め手に欠けるといった状況である。そこでまず当社は、SaaS型のIoTパッケージとして、2016年5月に「Factoryパッケージ」の提供を開始した。
また、昨今、営業車両を保有する企業において安全運転に対する意識と運行管理の重要性の高まりを受け、「全社をあげて事故防止施策を行いたい」、「車両台数を適正化してコスト削減につなげたい」、「ドライバーが今どこにいるかを把握したい」といったテレマティクスサービスのニーズが高いことから、同年8月に「Vehicle Manager®」の提供を開始した。
加えて、IoT導入に必要な機能・プロセスをノンプログラミングで簡単・短期間に実現できる「Things Cloud®」サービスを提供し、IoT Platformのサービスメニューを拡充している。(詳細は別記事を参照)
IoT事例の概要
サービスやビジネスモデルの概要
Vehicle Manager®の概要は以下の通りである。
- 5台以上の営業車両を所有している事業者は、営業日報が法律で義務付けられており、往々にしてドライバー自身が作成する必要があり、ドライバーの負担となっていた。
- Vehicle Manager®では車両に車載器を取り付けるだけで(配線不要、装着時間約10秒)、運行日報の自動生成が可能となる。
取り付けた車載器から位置情報や加速度などのデータを取得し、急発進・急ブレーキなどの危険運転の検知や、ヒヤリ・ハットが起きやすいエリアをハザード情報として共有することが可能となる。ドライブレコーダーは事故が発生した前後の証拠を記録するサービスであるのに対して、Vehicle Manager®はテレマティクスを活用することで事故を未然に防ぐサービスと言える。
内容詳細
主な適用事例及び導入効果は以下の通り。
- 医療機器販売会社様
営業車両を500台以上保有しており、営業車両の事故削減を目的として、運転成績表や優良ドライバーランキング、ヒヤリハットマップ、危険挙動通知メールを活用し、社内への安全運転対策を実施した。導入してから約3ヵ月後、前年度の同四半期と比べて事故発生率の半減を実現した。 - 食品メーカー様
新入社員の多くがペーパードライバーであり、運転慣れしていないことによる事故が多く、新入社員の事故率が高いことに悩みを抱えていた。導入してから半年間で事故件数を0件に抑えることを実現した。
その他事例はこちら
https://www.ntt.com/business/services/iot/iot/iot/vehicle-manager.html#tab1-4
概要図
取り扱うデータの概要とその活用法
- 燃費、加速度、位置情報等の各種車両データ。
- 車両データを可視化し、各ドライバーへの運転指導による交通事故削減を図る。
事業化への道のり
苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間
テレマティクス分野では後発サービスであったため、競合との差別化を図りVehicle Manager®ならではのメリットを理解してもらう必要があった。
技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの
- データを収集するセキュアなネットワークは自社技術を適用
- ソフトウェアについてはパートナーの協力を得て提供。
今後の展開
現在抱えている課題、将来的に想定する課題
データ活用がテレマティクス分野に限定的になること。
強化していきたいポイント、将来に向けて考えられる行動
- 車両等から得られるデータの他分野への活用や外部データとの連携による新たなビジネスモデル展開。
- 導入企業からのサービスに対するフィードバックを基にした機能改善。
将来的に展開を検討したい分野、業種
車両データの活用および外部データとの連携等による高付加価値データの創出、ビジネス展開。