掲載日 2020年10月07日

IoT SELECTION connected with SORACOM

【提供目的】
  • 事業・業務の見える化
  • 事業・業務プロセスの改善
  • 故障や異常の予兆の検知、予防
  • 故障や異常への迅速な措置

【活用対象】

  • 企業顧客

IoT導入のきっかけ、背景

 

 本記事では、東京センチュリー株式会社、株式会社ソラコム、ビープラッツ株式会社の協業によって実現したIoTのサブスクリプションサービスを紹介する。

 ソラコムは2015年9月のサービス開始以来、IoT向けの通信サービスを提供し4年半で契約回線数が200万回線を突破している。また、600社を超えるパートナー(SPS:SORACOM Partner Space参加企業)から多数の事例が生まれており、様々な用途で利用されている。

 その一方で多くのお客様から、IoTを導入したいが事業への活用イメージがわかない、費用対効果が分からない、通信環境が整っていない、メンテナンスできない、初期費用の負担が大きいといった相談が寄せられていた。IoTはICTを活用する技術力を持ちシステムを「作る」ことができるユーザーで導入が進んでいるが、依然として多くのユーザー企業には導入のハードルが高いことがさらなる普及に向けた課題である。

 これまでSPSから生まれた事例を俯瞰すると、典型的なIoTの利用パターンが出来てきたことが分かる。例えば、センシングや制御によって、従来人手に依存した作業を自動化することである。そこで、こうした汎用性が高い事例をハードウェアや通信サービスとセットにしたパッケージにし、利用期間に応じて月額料金を支払うサブスクリプションとして提供することができればIoT導入のハードルを下げることができると考えた。

 サブスクリプションの実現のためには、パートナーのキャッシュフローへの配慮が重要であった。パートナーは、パッケージ化したIoTソリューションを提供するためにはハードウェア(センサー、ゲートウェイなど)を調達する必要があるが、月額料金の場合、この費用回収に時間を要するためである。費用回収前の解約というリスクもある。ここで、航空機や製造設備をはじめとした様々な物件のリース事業を行っている東京センチュリー株式会社と協業し、同社の金融機能によってこの課題を解決することができた。さらに、同社が資本業務提携しているビープラッツ株式会社が持つサブスクリプションプラットフォーム「Bplats®」を加えることによって、協業ベースでサービスの仕組みを作り上げた。

 こうして、ユーザー企業はIoTを「作る」のではなく、導入実績があるIoTソリューションを「選ぶ」ことができるようになった。
 

IoT事例の概要

サービス名等、関連URL、主な導入企業名

名称:IoT SELECTION connected with SORACOM

URL:https://iotselection.tcplats.com/
 

サービスやビジネスモデルの概要

 IoT SELECTION connected with SORACOMでは、ユーザーがIoTソリューションを選ぶために以下のサービスを提供している。

  • パッケージ化したIoTソリューションを、導入効果や費用、導入事例を含めて確認できるWebページ。

  • ユーザー登録後、Web上での利用申込や変更・解約など全ての手続きが完了するオンライン契約。

  • 使いたい期間だけ利用し、いつでも解約が可能な月額のサービス利用料課金(サブスクリプション)。初期費用は、機器の送料や設置料金など最小限としている。

 これらのサービスによって、ユーザーは自身の課題を解決できるIoTソリューションを見つけて、費用対効果を見極めた上で利用することができる。

 図-1にIoT SELECTIONの利用フローを示す。ユーザーがIoT SELECTIONのWeb上でIoTソリューションを申し込むと、東京センチュリーから該当のIoTソリューションを提供するパートナーに発注が行われる。パートナーはハードウェア、通信、クラウドサービスなどをパッケージ化してユーザーに提供し、ユーザーは月額利用料を支払う。パートナーに対しては、必要なハードウェアや通信、クラウドサービスを調達する費用として、東京センチュリーから一定の金額が一括で支払われる。

図-1 IoT SELECTIONの仕組み
(出所:IoT SELECTION connected with SORACOM Webページ)
 

内容詳細

 IoT SELECTION connected with SORACOMが提供するソリューションのいくつかを紹介する。詳細はIoT SELECTIONの事例紹介ページをご覧いただきたい。

 これらのソリューションは、SPSで行ったユーザーとのマッチングなどを契機にパートナーが開発し実際に導入された事例である。ユーザーからのフィードバックによる機能の改善も行われており、安心して使えるものとなっている。また、どれも導入が簡単にできるように工夫されている。

(1)  スマート農業「あぐりログ」(提供元: 株式会社IT工房Z)

 あぐりログは、写真-1に示すセンサーと通信機能を一体化したボックスを温室内に設置するだけで、作物の生育管理に必要な温度・湿度・CO2濃度のモニタリングが可能となるスマート農業ソリューションである。

 モニタ情報の可視化やあらかじめ設定した閾値を超えた際のアラートメール機能はもちろんのこと、ハウス内の環境に病虫害が発生しやすい状況になった場合の「病害虫予報(試験公開中)」など、ユーザーの利便性が高い新たな機能を提供している。

写真-1 あぐりログの外観
(出所:IoT SELECTION connected with SORACOM Webページ)

 

(2)  IoT電球「HelloLight」(提供元:ハローライト株式会社)

 HelloLight(写真-2)は、電球にソラコムのSIMと通信機能を内蔵し、今ある電球を交換するだけで、見守り・防犯サービスを利用できるIoT電球である。例えば、一人暮らしの高齢者宅の日常的に使用する電球をHelloLightに交換するだけで、電球のON/OFFを遠隔からモニタリングすることによって高齢者の見守りを行うことができる。

 高齢者宅にはWi-Fiなどのデータ通信回線がないことが多く、こうした見守りを実現するためには通信手段の確保とコストが課題であった。HelloLightは通信機能を内蔵したIoT電球を月額580円という低価格で実現することによってこの課題を解決している。

写真-2 HelloLightの外観
(出所:IoT SELECTION connected with SORACOM Webページ)
 

(3)  窓口混雑回避「3密回避モニタ」(提供元:株式会社YE DIGITAL)

 「3密回避モニタ」は、新型コロナ対策ソリューションとして、窓口の「待ち人数表示モニタ」などをWebカメラで撮影し、その画像(静止画)を一般のお客様にWeb公開するサービスである。来店者が、離れた場所からスマートフォンやPCなどで窓口の混雑状況を確認できることによって、お客様の安心・安全の実現に寄与する。
 

概要図

 これまで説明したように、「IoT SELECTION connected with SORACOM」は、東京センチュリー株式会社、株式会社ソラコム、ビープラッツ株式会社の3社が共同で運営するマーケットプレイスである。

 この協業によって、以下に示す、ユーザー・パートナー双方のメリットを実現できた。

  • ユーザーは、IoTを一から作ることなく、導入効果がイメージできるIoTソリューションを選ぶことができる。また、費用があらかじめ分かっているため、費用対効果の試算が容易にできる。

  • パートナーは、開発したIoTソリューションを横展開する際に、IoT SELECTIONに載せることによって販売チャネルを拡大することができる。また、ソラコム及び東京センチュリーが行うプロモーションを利用することができる。

  • パートナーがIoTソリューションの提供に必要な機器などを調達する際の費用負担をなくし、ユーザーへの月額課金モデルを実現できる。

図-2 IoT SELECTION connected with SORACOMの協業モデル
(出所:IoT SELECTION connected with SORACOM Webページ)
 

取り扱うデータの概要とその活用法

取り扱うデータはソリューションによって異なるが、例えば以下があげられる。

  • 温湿度、CO2濃度などのセンサー情報(スマートアグリソリューション)
  • 画像情報(遠隔監視ソリューション)
  • GPS位置情報(車両管理ソリューション

 

事業化への道のり

苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間

 本サービスは、2018年9月にソラコムから東京センチュリーに、サブスクリプションを実現する際のパートナーのキャッシュフロー対応について相談したことをきっかけに一気に話が進み、約6ヶ月でサービス開始に漕ぎ着けるというスピードで準備を進めた。

 東京センチュリーでは、リース業界では初めてとなるサブスクリプションモデルで新事業を展開するにあたって、社内調整とプラットフォーム構築を短期間で行なう必要があった。こうした中、経営層が新しいビジネスモデルの開拓にチャレンジすることを迅速に判断し、現場を支援することによってスピーディーに対応することができた。
 

技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの

 本サービスの構築にあたっては、プラットフォームも既に提供済みで実績があるサービスを組み合わせることによって実現している。

 通信サービスやデバイス管理などはソラコムがこれまでに提供しているサービスとシステムを使っている。また、サブスクリプション管理にはKINTO(車のサブスクリプション)など多くの採用実績があるビープラッツの統合管理プラットフォーム「Bplats®」を使用している。

 

今後の展開

現在抱えている課題、将来的に想定する課題

 IoT SELECTION connected with SORACOMの認知度をさらに上げていきたい。コロナ禍でのプロモーション施策について、オンラインイベントの活用など、より多くのユーザーに本サービスを知っていただくための施策を行なっている。
 

強化していきたいポイント、将来に向けて考えられる行動

 新型コロナ対策など、社会の状況に応じて求められるソリューションをタイムリーに展開していきたい。紹介した3密回避モニタ以外にも、テイクアウト・デリバリーの事前注文・決済を支援するソリューションを開始するなど、ユーザーの事業形態の変化をいち早く支援するIoTソリューションを提供していきたい。

将来的に展開を検討したい分野、業種

 今後の動きとして、IT企業以外でも、自社で開発導入したIoTソリューションを社外に横展開することが考えられる。ソリューションのプロモーションや販売チャネルとして、こうした企業にIoT SELECTION connected with SORACOMを使っていただけるようにしたい。

 

本記事へのお問い合わせ先

東京センチュリー株式会社/藤木勇一

e-mail : fujiki.y@tokyocentury.co.jp