GENECH DATA SOLUTIONS
- 事業・業務プロセスの改善
- 顧客へのサービス対応・サービス品質向上
【活用対象】
- 自社の部門内
- 社の複数部門あるいは全体
- パートナー企業含めたグループ内
- 企業顧客
IoT導入のきっかけ、背景
当社は創業よりアプリケーション開発を手掛けており、システム開発に強みがある。従来のお客様には、生産管理システムや販売管理システムといった業務システムの開発支援を行っていたが、数年前からIoTやAIといったキーワードの相談が増えてきた。その中で、センサー等のデバイスメーカー様から、「デバイスの開発はできるが、ソフトウェアやクラウドの開発が苦手」という声を聞くようになった。
IoTを活用するためには、デバイスに加えて、収集したデータを伝送するネットワーク、およびデータを蓄積して可視化や分析を行うクラウド上のソフトウェアをIoTシステムとして構築する必要がある。これらを、一社で全てまかなうことは難しい。上記のデバイスメーカー様の悩みもこの点に起因したものが多い。
そこで、こうしたお客様の声や悩みにフォーカスを当てて、当社側がクラウド上で動くIoTプラットフォームを用意し、センサーメーカーなどのお客様の製品と柔軟に組み合わせることによって、システム化の課題が解決できるのではないかと考えた。このコンセプトを実現した製品として、2018年にさまざまなセンサーからのデータをグラフ等にて視覚化したIoT Stationをリリースし、2021年には、利便性向上やセキュリティ対策を強化したIoT Station V2の提供を開始した。
IoT事例の概要
サービス名等、関連URL、主な導入企業名
サービス名:IoTプラットフォーム「IoT Station V2」
関連URL:https://iot.genech.co.jp/
導入企業:https://iot.genech.co.jp/solution/
住友理工株式会社、凸版印刷株式会社、マスプロ電工株式会社、株式会社昭電、株式会社TOKAIコミュニケーションズ、京都電子工業株式会社 等
サービスやビジネスモデルの概要
「IoT Station V2」は、さまざまなデバイスからデータを収集・蓄積し、そのデータをグラフ等にて見える化するためのIoTプラットフォームである。データを伝送するための無線ネットワークとして、LPWA(Low Power Wide Area)をはじめ、さまざまな通信規格やデバイスに対応している。
「IoT Station V2」では、通信回線やゲートウェイ、センサーの種類を問わず、ユーザーにとって「分かりやすい」「使いやすい」ことを重視した。そのために、「IoT Station V2」ではでさまざまな情報をWebブラウザ上の画面に表示できるダッシュボード機能を提供している。この、ダッシュボードを部品化(ウィジェット化)しており、いくつかのウィジェットを組み合わせることにより、自身に合ったダッシュボードを自由に構成できる。
加えて、多段階の階層管理機能により、管理したい対象(デバイス、センサ)ごとにダッシュボードの表示や閲覧アクセスの制限が可能となっている。例えば、対象ごとに使用者を紐づけ、使用者の権限に従って参照のみ、変更可能などいくつかのアクセス権の設定が可能である。
このように、「IoT Station」の便利な機能はそのままに、より使いやすさを追及した機能を「IoT Station V2」で実現し、IoT プラットフォームとしての多様な機能を提供している。
内容詳細
特長① 見たい情報をまとめて表示
異なるセンサーの種類・通信規格で収集されたデータでも、1つのダッシュボードに集約されるため一元管理が可能。
図-1 特徴①のイメージ図
特長② 同一サービスの立ち上げの容易さと、柔軟なユーザーアクセスの制御
管理したい対象(ユーザー)ごとに、表示や閲覧制限が可能。
加えて、ユーザーごとにログイン時の2段階認証機能を有効にできるセキュリティ対策を行っている。
図-2 特徴②のイメージ図
特長③ 自社ブランドでの展開と、個別カスタマイズ対応
お客様のブランドイメージに合わせたダッシュボード画面の提供、テナントごとの個別カスタマイズが可能。
図-3 特徴③のイメージ図
特徴④ 管理者によるダッシュボードの編集
さまざまなパーツ(ウィジェット)を自由に組み合わせて、目的に合わせたダッシュボードを作成可能。図-4のように、センサーデバイスの設置場所を地図画面にマッピングした表示(図の左側)から、センサーの測定値を折れ線グラフで表示する形式(図の右側)に変更するといった作業も、ご利用頂く企業様でご対応頂くことが可能。
図-4 特徴④のイメージ図
特徴⑤ 日本語/英語は標準対応。その他の言語も対応可能
ユーザーインターフェースは日本語/英語の切り替えに対応。その他の言語も翻訳ファイルを追加するだけで対応可能。
図-5 特徴⑤のイメージ図
特徴⑥ モバイル端末からの利用
ユーザーが利用する端末に依存することなく、ダッシュボードが表示可能。
図-6 特徴⑥のイメージ図
概要図
IoT Station の利点はそのまま活かしつつ、「IoT Station V2」では「データの活用」に向けた改善を行った。
図-7に示すように、IoT Station V2は通信回線やゲートウェイ、センサーの種類を問わず、クラウド上でデータの見える化ができる。その上で、IoT Station V2の標準機能や開発用テンプレートを活用して以下の監視機能や管理機能を短時間で開発することができる。
- 通信回線の使用状況(受信データ量、接続回数など)
- デバイスの測定値(例えば、デバイスのセンサーで測定した温湿度)
- デバイスの位置情報(設置場所)
- デバイスの管理(漏水や稼働状況の監視など)
対応するデバイスには、水位・雨量監視システム、熱中症指標計、二酸化炭素センサーなどがある。(詳細は当社Webサイトの対応デバイス一覧を参照)
【主なグレードアップポイント】
・デザインの一新 ・多言語化対応 ・モバイル対応 ・セキュリティの向上 等。
図-7 デバイスからクラウドまでの全体概念図
取り扱うデータの概要とその活用法
・設備管理 ・温湿度管理 ・Co2濃度管理 ・熱中症管理 ・獣害管理 ・漏水管理
・防災管理 ・商品トラッキング 等。
事業化への道のり
苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間
当社1社でIoTソリューションは提供できないため、各LPWAのパートナー会や展示会への参加を通じ、少しずつ横のつながりを構築した。その上で、製品に強い会社、ネットワークに強い会社、ソフトウェアに強い会社といったように、専門性の高い会社同士が協力しあうことで、市場にリリースされているLPWAの通信規格に幅広く対応し、かつ複数の通信規格のデータを1つのダッシュボードに表示を行えることにつながった。
技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの
当IoTプラットフォームは、OEM提供を前提として設計している。そのため、システム管理者権限で顧客管理できるマルチテナント機能(例1テナント=1顧客)を搭載しており、短期間でお客様のアプリケーションを構築できる仕組みを整えている。
また、さまざまな通信規格の違いをシステム内部で吸収し、一つのアプリケーションとして集約・可視化できる仕組みも搭載している。
今後の展開
現在抱えている課題、将来的に想定する課題
センサーから収集したデータの表示だけではなく、将来の予測や傾向分析など、データのリユースについて、お客様のニーズに合わせ対応していきたい。
強化していきたいポイント、将来に向けて考えられる行動
パートナー様協業領域のデバイス、通信回線/ゲートウェイ分野との関係を強化し、AI機能の拡張、取引企業様のDX化に貢献出来る様、IoT Staitionの機能を拡大・強化していきたい。
将来的に展開を検討したい分野、業種
物流業界との連携のために、物流資材(パレット・カゴ車)、物流車両の位置情報管理サービスの強化を現在検討している。
本記事へのお問い合わせ先
GENECH DATA SOLUTIONS IoT事業部 竹本 真依
e-mail : takemoto@genech.co.jp