デルタ電子株式会社
- 顧客へのサービス対応・サービス品質向上
- 新たな顧客層の開拓、マーケティング
- 変動する需給バランスの最適化
- ユーザーの利便性向上、付加価値サービス提供、プライバシー保護の強化
【活用対象】
- 企業顧客
- 一般顧客
- 社会全般
【主な提供分野】
- 情報サービス
- エネルギー・鉱業
- 建設・設備
- 運輸・交通
- 公共
- その他(店舗、商業施設)
更新日 2019年06月21日
IoT導入のきっかけ、背景
当社のミッションは、より良い明日のために革新的かつクリーンで、効率的なエネルギーソリューションを提供し続けることにある。
昨今、世界中で自動車がEV化(電動化)する中で、充電機器設置数の拡大が急務である。また、EV充電ステーション有料化の流れが起きており、EV充電サービス事業への関心が高まっている。
しかしながら現在日本においては、自動車メーカ4社が共同出資した日本充電サービス(NCS)の決済サービスが主流となっており、これ以外の決済サービスを使う充電サービスの参入が非常に難しいのが現実である。また、既存充電サービスでは、会員制ICカード発行による利用者の囲い込みが行われている。加えて、サービス利用時に氏名・利用車両などの個人情報を提供する必要があり、プライバシー保護の観点でも課題がある。
上記に示す状況から、日本はEV先進国でありながらEV充電器の普及では欧米各国に遅れを取っている。そこで当社では、EV用急速充電器に欧州/米国他にて標準採用されているオープン・スタンダード・プロトコル(OCPP)(*1)を搭載し、スマートフォンの通信技術と連携しながら、充電サービス料金の簡単決済サービスを実現する業界初のIoT EV充電インフラプラットフォーム「EZQC」を開発した。
「EZQC」はスマートフォンの専用アプリからユーザー登録や充電操作を行うことができ、登録の際に氏名や利用車両などの個人情報を入力する必要がないため安心してサービスを利用可能である。「EZQC」の利用により、基本的には誰でもどの充電器(*2)でも利用でき、急速充電器設置者及び利用者の双方の利便性向上が可能となる。また、電気自動車の普及に伴い懸念されつつある電気不足についても、OCPPを採用することで電力データの収集及びその制御が可能になり、膨大な数のEVが同時に充電を行う際に発生する電力量の負荷管理が可能となる。
IoT事例の概要
サービス名等、関連URL、主な導入企業名
サービスやビジネスモデルの概要
EZQCはEV(電気自動車)に対する新たな充電サービスで、利用者と充電サービス提供者の双方に以下のメリットをもたらす(図1参照)。 スマートフォンのEZQCアプリケーションを使用することで、利用者は本人確認の手続きなしに約1分程度でサービスを利用できるようになる。また、従来と比べ充電・支払いの手続きを簡単に行うことができる。一方、充電サービス提供者は、EV用急速電源設置エリア周辺の提携ショップのクーポン券やサービス券、優待券などを利用者のスマートフォンに配布することが可能となる。利用者はクーポン券などを使用し、例えばコーヒーショップでメールを読むなど、充電中の待ち時間を有効活用することができる。
内容詳細
EZQCはEV(電気自動車)に対する新たな充電サービスで、利用者と充電サービス提供者の双方に以下のメリットをもたらす(図1参照)。
スマートフォンのEZQCアプリケーションを使用することで、利用者は本人確認の手続きなしに約1分程度でサービスを利用できるようになる。また、従来と比べ充電・支払いの手続きを簡単に行うことができる。一方、充電サービス提供者は、EV用急速電源設置エリア周辺の提携ショップのクーポン券やサービス券、優待券などを利用者のスマートフォンに配布することが可能となる。利用者はクーポン券などを使用し、例えばコーヒーショップでメールを読むなど、充電中の待ち時間を有効活用することができる。
図1:既存充電サービスとEZQCの比較
本ソリューションによる利用者・サービス提供者へのメリットの詳細を以下に示す。
■ 利用者のメリット
- スマートフォンから簡単に充電操作が可能。
- スマートフォンを利用したクレジットカード決済を、本サービス申し込みと同時に即日利用可能。
- 充電終了をスマートフォンにて確認可能(お知らせアラーム)。
- スマートフォンの通信機能を利用して、EV充電アプリケーションが自動起動。
- 氏名、利用車両など、個人情報の登録が不要。
■ 充電サービス提供者(急速充電器設置者)のメリット
- 課金/管理用の専用端末や特別なネットワーク設備が不要。
- 充電器の利用・稼働状況などをスマートに管理。
- 加盟店契約が不要であり、充電器設置後(即日)サービス開始。
- コンビニなど他のサービスを同時に運営する場合、利用者に優待クーポンを発行することにより、充電待ち利用者をそのサービスに呼び込むことが可能。
■ 急速充電器メーカ(他メーカ)へのメリット
- OCPP非対応充電器であっても、当社よりクラウドAPI(ペイメント、OCPP、パワーマネージメント、クーポン)を提供しており、充電器側に対応ソフトウェアを組み入れるだけで本サービスの利用が可能となる。
[導入状況]
2018年2月26日に本サービスの提供を開始した。当社は、急速充電器本体(EVDJ25シリーズ)にEZQC対応機能を搭載し、充電サービス提供者(急速充電器設置者)とその利用者拡大に向けた活動を展開中である。
※試験運用2016年~実施
概要図
図2:EZQCシステムの顧客側、設置者側のメリット
EZQCシステムの顧客側、設置者側のメリットは図2のとおりであるが、技術的観点からも次のようなメリットがある。
図3:EZQCシステム概要図
(1) 多様な決済方法に対応(PCI DSS(*1)を遵守した「あんしん」なセキュリティ)
グローバルセキュリティ基準「PCI DSS」のトップレベルを満たす決済ゲートウェイを利用。PCI DSSは、VISA・MasterCard・JCB・American Express・Diners Clubの国際クレジットカードブランド5社が共同で策定したカード決済に関するデータセキュリティ基準である。このようなセキュリティ向上への取組みを通して、すべてのお客様に「あんしん」な決済を提供する。
(*1) PCI DSS:Payment Card Industry Data Security Standard
取り扱うデータの概要とその活用法
充電サービスの提供に関するデータ(匿名化された利用者の充電量データ、売上げデータ、充電器のオペレーションデータなど)
上記のデータを活用し、充電サービス提供者は、クラウドサービスのダッシュボード機能により、日次・月次・年次の充電量、売上・収益管理、電源管理、アラーム通知設定、サービス料金など、充電サービスの運営に必要な管理データの「見える化」が可能。(図4参照)
図4:ダッシュボード画面の例
事業化への道のり
苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間
IoT EV充電インフラプラットフォーム「EZQC」については、2015年秋より自社の急速充電器のみならず、他社にも利用可能なオープンインターフェースプラットフォーム実現を目的として開発を開始した。クラウドサービスAPI(ペイメント、OCPP、パワーマネージメント、クーポン)の標準化と実際の電気自動車を用いた実証実験による評価に時間を要したが、オーストラリアやオランダなどのデルタチームと連携し、世界複数都市で実証実験を実施するなどグローバルな視点での取り組みを実施し、実用化に漕ぎ着けた。
技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの
OCPPプロトコル仕様を実装すると共に、クーポンサービス実現に関しては、当社内のノウハウと技術を駆使して開発を行った。
今後の展開
現在抱えている課題、将来的に想定する課題
現在、国内では決済端末を設置したNCS(*)などによる決済サービスが主流となっており、IoT EV充電インフラプラットフォーム「EZQC」の認知および普及に時間がかかっている。
(*) NCS:日本充電サービス。充電サービスのネットワーク化を図るために、自動車メーカ4社の共同出資により2014年に設立された。
しかしながら、将来、電気自動車の普及が世界的に拡大することは間違いなく、このような中でグローバルスタンダードに準拠した決済サービスを展開することは非常に意義のあることと考えている。EV充電器を世界に普及させるためにも、グローバルな視野で取り組みを続けていきたい。
強化していきたいポイント、将来に向けて考えられる行動
IoT EV充電インフラプラットフォームの利用とそのクラウドAPIの公開により、他社充電器を含めたさまざまな充電器との接続が可能となり、利用者の利便性向上や使用電力量の負荷管理が可能になる。利用者の利便性(世界共有な考え方での利用方法)向上と電力の安定利用に貢献することで、急速充電器の普及拡大に貢献したい。
将来的に展開を検討したい分野、業種
自動車メーカ、EV充電スタンド、設置業者、自治体、商業/観光施設 などへの展開