掲載日 2018年11月06日
BizMobile株式会社

BizMobile株式会社

【提供目的】
  • コスト削減
  • 事業・業務プロセスの改善
  • 収集情報を活用した付加顧客サービス提供
  • 顧客へのサービス対応・サービス品質向上
  • 新たな顧客層の開拓、マーケティング
  • その他(IoT販売・導入・運用・保守サービスへの参入)

【活用対象】

  • パートナー企業含めたグループ内で活用
  • 他企業とのアライアンス・コミュニティ内で活用
  • 企業顧客
  • その他(B2B2C、B2B2E)

IoT導入のきっかけ、背景

 「スマートフォンが緊急地震速報を受信した際にガスコンロを停止する」等のように、モノとモノのIoT連携により、アイデア次第でさまざまなサービス提供が可能性となる。この動作は、「イベントの検出と異なるモノへのアクションの依頼」というモデルに一般化できるが、イベントとアクションの組み合わせは無限に存在するからである。しかしながら、このサービスの市場はまだ立ち上がっていない。理由の一つは、既存クラウドサービスがサイロ化しており、連携の範囲が同一のクラウドサービスに接続されているデバイス間に限られるためである。そのため当社は、他社に先駆け、デバイスメーカーやクラウドサービスの境界を超えてモノとモノの連携を可能とする仕組みである「IoT Exchange」を開発した。

 当社は、モノとモノが連携するIoTサービス(IoT連携サービス)の提供には、クラウド事業者とエンドユーザーとの間にサービス提供事業者が介在する形態が有効であると考えている。多くのサービス提供事業者が参加することで、ユーザーニーズに即した多様なサービスが実現できるからである。一方で、サービス提供事業者がIoT連携サービスを提供する上で、以下の課題が存在する。

  1. クラウドサービスの乱立によって、クラウド毎にサービスを開発・提供する必要がある
  2. メーカーが異なるセンサーと家電等を連携する際に、イベント検出〜アクションの実行まで、一貫した横通しの安全性を担保する仕組みがない
  3. エンドユーザーからサービス対価を徴収することが難しい

 こうした状況の中で、資金力に勝る米国の大手IT企業がホームIoTサービスを無償で開始し、提供するクラウドサービスを使ってユーザーの囲い込みを進めている。当社は、このようなサイロ化の進展に危機感を感じ、2015年に一般財団法人インターネット協会のIoT推進委員会において、IoTのオープン化による水平分業を提唱したが実現に至らなかった。

 引き続き可能性を模索する中で、2016年に東京大学生産技術研究所(以下、東大生産研)のIoT特別研究会に参加した際に、IoT Exchangeの原型であるWeb APIに出会った。Web APIは、個々のクラウドサービスはサイロのままでも、その境界を越えてモノとモノの連携を実現しており、まさに当社が懸念していた課題に対する解であった。そのため、このアーキテクチャを発展させたIoT Exchangeを東大生産研と共同開発し、2018年7月に商用サービスの開始にこぎつけた。

 モノとモノの連携で新しい価値を創出するには、誰もが参加でき、モノやアプリケーションを自由に相互接続できるExchangeが必要である。インターネットにはプロバイダやデータセンター同士の相互接続ポイントとしてIX(Internet Exchange)があるが、「IoT Exchange」は、モノやサービスの連携のために相互接続するIoTにおけるIXである。

 

IoT事例の概要

サービス名等、関連URL、主な導入企業名

 IoT Exchange
 
 関連情報(相互接続IoTプラットフォーム)
 

サービスやビジネスモデルの概要

 図-1にIoT Exchangeの構成を示す。IoT Exchangeの立ち位置は、クラウド事業者・サービス提供事業者・エンドユーザー間を結びつける場(Exchange)を提供することである。

 

図-1 IoT Exchangeの構成
図-1 IoT Exchangeの構成 

 

 多くのサービス提供事業者の参加を得るため、当社は、IoT Exchange事業では利益を追求せず、その利用料金を低く設定している。収益は、IoT Exchange上に当社の(もしくは別会社の設立やアライアンスにより)新たなIoT連携サービスを立ち上げることで確保可能と考えている。

 これを実証するため、既に、不動産事業者と連携し、賃貸住宅向けのサービスを立ち上げている。この事例では、スマートフォン画面から家電などのホーム設備を一括して遠隔制御するIoT連携サービスを開発した。IoT設備・家具付きという訴求ポイントで空き室率を低減し、不動産事業者の収益向上を実現すると共に、スマートロックを使用して内覧時の開錠を行い鍵の受け渡しの手間を省くことで不動産事業者の業務効率化、それから何より、スマートフォン画面からホーム設備を操作できるなど入居者の利便性向上を実現している。

内容詳細

 IoT Exchangeでは、1)共通APIを使用することで、サービス提供事業者が異なるクラウドサービスやデバイスの差異を気にせずIoT連携サービスの開発に集中できる環境を提供している。また、2) サービス実行前の安全性確認を行う「関所サービス」による横通しの安全性提供、3)安価な価格設定、によって冒頭に述べた市場の立ち上がりを阻害している課題を解決した。

 図-1に示すIoT Hubは、各種のクラウド・デバイス(モノ)・アプリケーションを相互接続し、連携可能とするための、IoT Exchangeの中核部分である。IoT Hubを使用した、イベント検出とアクションの依頼によるIoT連携サービスの実現方法は以下の通りである。

  1. クラウド(例えばAmazon)に接続されたデバイスが、イベントをクラウド事業者のアプリケーションに通知する
  2. アプリケーションはイベントに対応したアクションとその依頼先デバイスを決定する
  3. アクションを実行する前に、アプリケーションがデバイスを制御する際に発生し得る不正な操作や処理競合等のIoT由来の脅威(*1)を「関所サービス」でチェックする
  4. デバイスに対してアクションの実行を依頼する(アクションを依頼するデバイスは、他のクラウドに接続されている場合も許容)

(*1): 非IoT機器をIoT化することによって発生する、これまでは起きなかった問題を、IoT由来の脅威を呼んでいる。例えば、歩行中に廊下のライトを消してしまうなどの誤った制御が考えられる。

 クラウドサービスやデバイス毎の通知・制御方法の差異は、IoT HubのWeb API /Things Driverが吸収する。サービス提供事業者は、当社が提供するSDKを使用して開発することによって、同一のプログラムコードで複数のクラウドやデバイスへの対応を実現できる。また、デバイスベンダーはThings Driverを開発・提供するが、この際にWeb APIに対応したものを開発することにより、サービス提供事業者はデバイス毎の個別対応が不要となる。 

 IoT Exchangeの特徴として、制御の監視と異常発生時の対処等を瞬時に行う機能がある。例えば、介護ベッドの角度調整を行う際には、隙間に手が挟まる等の異常が発生した際に緊急停止を行う安全対策が必要であるが、異常判定をクラウドで行う場合は処理遅延が生ずる。そこで、図-1のGateway内に配備したエッジコンピューティングによって監視と制御を行うことで、このリアルタイム性を実現している。

概要図

 IoT Exchangeサービスの全体構成を図-2に示す。ユーザーが家電等の制御を行う際のインターフェースとしては、スマートフォン・AIスピーカーに加え、Line/Twitter等のSNSも利用可能である。また、ドライバーを作成することによって、連携するSNSやWebサービスを拡大することが可能である。

 

図-2 IoT Exchangeサービスの全体構成
図-2 IoT Exchangeサービスの全体構成

 

取り扱うデータの概要とその活用法

  • デバイス提供ベンダーとサービス提供事業者間の責任分界点を明確にし、顧客サポートを可能にするための、「操作ログ、操作結果」情報
  • アプリケーションからデバイスを共通的に監視・制御するための情報モデル(Things Driver)

苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間

 事業化に当たって最も苦労したのは、技術的な問題ではなく、新たな価値創出の可能性と、コスト負担ができる者が存在するビジネスモデル見つけることであった。本サービスの具体的な適用領域として、IoT設備・家具付き賃貸住宅を対象に、IoT連携サービスを不動産事業者向けに提供するB2B2Cモデルの可能性を模索した。幸いなことに、不動産事業者との協業が実現し、実際のIoT導入済マンション企画案件から、今後の事業展開に有用な貴重なヒントを得た。

技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの

 東大生産研との共同実証研究によって、必要な機能や要件の洗い出しを実施した。スケール性や高可用性対応等は、当社が強みを持つMDM(Mobile Device Management)製品開発における技術やノウハウを活用した。

 

今後の展開

現在抱えている課題、将来的に想定する課題

 IoT機器は家電同様に買替えサイクルが長くなり、将来は多数の世代にまたがる機器が混在することが考えられる。そのため、世代間の相互依存性を加味した更新を適切に行うための世代管理を実現する必要がある。また、OSのサポート期間終了後の脆弱性対応という事業継続性の課題も発生する。

 IoT由来の脅威への対応として関所サービスを開発したが、上記のように、つないだことにより発生する新たな課題を継続的に検証し、解決していく仕組みが必要である。

強化していきたいポイント、将来に向けて考えられる行動

 今後、参加企業間の相互接続協定、IoT機器の動作確認、運用監視の仕組み作りに着手し、提携先にサンプルコードやガイドライン等の提供を行う。また、多様なIoT機器に対応したThings Driverの開発を効率化するために、バーチャルデバイス・検証環境の提供を行う。加えて、データ交換に最適な課金システムの実現技術(ブロックチェーン等)の検証と開発、「関所サービス」を高度化するための技術(機械学習、AI等)の検証・開発を進めたい。

 また、アプリケーションの実行環境である各社クラウドのFaaS(Function-as-a-Service:コンテナの実行環境)を透過的に扱うマルチファンクション統合管理システムの開発を順次行う(現状FaaSはAWS Lambdaのみに対応しているが、他のクラウドサービスへの対応を行う)。

将来的に展開を検討したい分野、業種

 必要なサービスを提供したいと思っても、人手不足やお金がないため断念せざるをえない場合がある。また、都市部ではサービスが提供できても、地方や過疎地では提供できない場合がある。少子高齢化社会の到来に備え、まずは介護や医療分野で、IoT由来の問題を解決できるパートナーとの連携を行い、安全・安心なIoT連携サービスを実現したい。

関係省庁、スマートIoT推進フォーラムへの意見、要望等

 IoT機器の中には持ち運びできない家電・住宅設備機器も数多く存在する。そのため、世代混在環境での検証を効率的に行うために、従来の検証のために機器を持ち込む必要がある箱モノ検証センターではなく、分散した検証環境をバーチャルに統合し相互接続性を確認する仕組みを政府レベルで検討して欲しい。また、人手不足に対応するために、テレワークを推進すると同時に、中小企業の効率化や副業を推進する制度等も検討してほしい。

 

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