掲載日 2018年06月13日
IoT導入のきっかけ、背景
ALSOKは1965年の創業以来、警備員の常駐による大型商業施設の警備をはじめ、オフィスビルやマンション、戸建住宅など様々な施設を24時間365日見守り、異常の際にはすぐに駆け付けることでお客様の安全をサポートしてきました。ALSOKでは安全安心の提供をさらに一歩推し進め、施設内、建物内だけでなく、外出時も含めた見守りサービスを展開し、2015年からGPS位置情報による「まもるっく」サービスをスタートしました。
しかしながら、超高齢化社会の進展により、さまざまな社会問題が表面化しています。特に認知症患者の行方不明や事故が増加しており、年間1万人を越える深刻な問題となっています。家族だけで高齢者を見守り続けるのは困難な状況で、この状況は、小さな子供についても同様です。
そこで、ALSOKでは低消費電力の通信を可能とするBluetooth Low Energy技術を使用し、カバンや靴など外出時に自然と身につけていただき易い軽量小型かつ廉価な「みまもりタグ」を開発しました。このタグを感知した市民のスマートフォンや地域に設置した感知器がその位置情報を保護者に伝え、地域ぐるみで見守るという新たな形態のサービスを2017年6月より開始しました。
IoT事例の概要
サービス名等、関連URL、主な導入企業名
「みまもりタグ」
サービスやビジネスモデルの概要
- ご高齢者様やお子様など見守る対象の方に「みまもりタグ」を身に着けていただく。ひもを通してカバンに付けたり、専用の靴に入れることが可能です。
- ご近所の方や学校関係者など地域住民などの市民ボランティアの方々に無料のスマホアプリ「みまもりタグアプリ」をインストールいただきます。
- 「みまもりタグ」を携帯した見守る対象の方が、「みまもりタグアプリ」をインストールしたスマートフォンや商業施設等に設置した「みまもりタグ感知器」とすれ違った際に、自動的に位置情報をサーバーに送ります。
- 保護者は、「みまもりタグアプリ」から契約した「みまもりタグ」の位置情報の履歴を確認でき、捜索する際の一助とすることが可能です。また、対象者の近くに居る方に情報提供を呼びかけることもできます。
- 「みまもりタグアプリ」をインストールした市民、「みまもりタグ感知器」を設置した商店などが多ければ多いほど位置情報の精度が上がり、地域ぐるみの見守りネットワークが構築できます。
内容詳細
(1)利用シーン
- 高齢者、スマートフォンを持たない小さな子供を持つ家庭の他、介護施設、学校など。
- 「みまもりタグアプリ」のダウンロードや「みまもりタグ感知器」の設置などで、地域の協力が欠かせないサービスです。「みまもりアプリ」使用者には「みまもりタグ」情報提供の数に応じて貢献度を見えるようにしています。
(参考)「みまもりタグアプリ」Google Play、App Storeから無料ダウンロード可能。現在約1万ダウンロード。
(2)特長
- 軽量小型:カバンや靴など自然と装着しやすいタグ
- 省電力:約1年間動作可能
- 廉価:「みまもりタグ」料金(税別)機器2,200円、月額250円
- 情報の匿名性:位置情報と「みまもりタグ」識別情報のみを送信し、保護者には契約した「みまもりタグ」の情報のみを提供。サーバー内には見守り対象や市民ボランティアの情報は保持しません。
概要図
取り扱うデータの概要とその活用法
「みまもりタグ」識別情報および位置情報のみ(個人を特定する情報はありません)
事業化への道のり
苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間
- 企画開発段階で、最も難しい見守り対象として認知症患者を想定ました。ALSOKでは介護事業も行っておりその現場との意見交換の中で、徘徊する方が何も持たずに外に出られること、靴だけは履く傾向があることから、靴にも装着できる設計としました。
- 「みまもりタグ感知器」「みまもりアプリ」の普及がポイントです。国土交通省事業、厚生労働省事業に採用され、対象地域での実証例を作り、他の自治体にも実際に見ていただくことにより水平展開を図っています。
- 自治体が地域防犯対策の一環でカメラを設置する際に、カメラと「みまもりタグ感知器」をセットで提案しました。これが評価され採用いただくこともあり、普及を推進できました。
技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの
自社開発。低消費電力通信を可能とするBluetooth Low Energy技術を採用。
今後の展開
現在抱えている課題、将来的に想定する課題
- ご協力いただく市民ボランティアや、「見守り感知器」の設置普及が課題です。
- 自動販売機や宝くじ販売売場など、設置に協力的な業種もあることに気付きました。地域や社会に貢献できるメリットを説明し、協力企業等を増やしていきたい。
- 自治体への提案や実証を通して、タクシーなど街や地域を日常走行する車両が、「みまもりタグ」と通り過ぎる度に情報提供いただく形態の有用性に気付いたため、今後展開を図っていきたい。
強化していきたいポイント、将来に向けて考えられる行動
- 学校、自治体への提案の継続。地域の安全安心への協力や社会貢献性のメリットを合わせた企業等への提案、協力依頼の継続。地域の特性(地方や都市部)に合わせた「みまもりアプリ」「みまもりタグ感知器」の提案モデルの検討などです。
- 集まったデータの利活用には注力していく方向です。例えば、「みまもりタグ」を身に付けた小学生の動線や集中度を示すヒートマップを作成し、防犯カメラの設置場所などの防犯対策の検討に役立てていただくなど。
将来的に展開を検討したい分野、業種
- 地域で作っていただく見守りネットワークであるため、自治体が中心となります。
- 車両からのみまもりタグ感知は効率的であり、カバー率や位置精度を高める上で有望と考えています。感知器を搭載いただけるような車両関連の業種にも提案していきたい。可能であれば車両側にも「みまもりタグ」(見守り対象者)が近くにいることを認知できることによる新たな展開にも期待感を持っています。
本記事へのお問い合わせ先
綜合警備保障株式会社 HOME ALSOK事業部
TEL : 03-3470-1575