掲載日 2023年03月02日

 

株式会社アクセルラボ

【事業区分】
  • IoT等を活用した企業・自治体等向け製品・サービス等の提供
  • IoT等を活用した一般消費者向け製品・サービス等の提供

【関連する技術、仕組み、概念】

  • IoT
  • DX

【IoT等の利活用分野】

  • 防犯セキュリティ
  • 建設・設備
  • 公共
  • その他(不動産管理、スマートホーム)

【IoT等の利活用の主な目的・効果】

  • 生産性向上・業務改善
  • サービス・業務等の品質向上・高付加価値化、顧客サービス向上
  • その他(快適な住環境の実現)

課題(注目した社会課題や事業課題、顧客課題等)

 当社は、住まいをソフトウェアで革新しようということで、不動産デベロッパーである株式会社インヴァランスの100%子会社として2017年7月にスタートした。幸いなことに、当社の提供したスマートホームサービスは入居者に好評だった。このため、インヴァランス社以外にもサービスを提供しようということで、2020年10月にインヴァランス社との資本関係を解消し、⼤東建託株式会社と資本業務提携を行い独立した。

 世の中にスマートホームを謳うサービスはいくつかあるが、例えばセキュリティ機能のみしか提供しない、機器だけしか提供しないなどのケースが多い。当社のスマートホームサービスは、ガス給湯器や床暖房、インターフォンなどの住宅設備、宅内・屋外カメラなどのセキュリティ関連機器、エネルギーマネジメントシステム、エアコンや照明などのスマート家電の操作など、スマートフォンを使ってさまざまな機器や設備をワンストップでコントロールする。また、アプリを提供するだけでなく、住宅の入居者向けに使い方まで丁寧に説明する。このため、入居者に活用され、住宅の価値向上に貢献している。

 このような状況が住宅や不動産関係者に理解され、2022年12月時点で当社のスマートホームサービスを導入する住宅や不動産関連の会社は250社に達しており、サービスを導入した戸数は21,000戸を突破している。

 

IoT等利活用の経緯(課題解決の鍵となる技術・アイディアの発想やビジネスパートナーとの出会い等活用に至った経緯)

 当初はIoTだけでなくAIを活用し、収集した行動履歴情報をベースにモノを動かすAI住宅の提供をめざしていた。しかしながら、AIの精度がなかなか向上しなかった。このため、IoTを活用しワンストップで入居者が機器や設備を操作するという発想に転換してサービスを開発・提供したところ、好評を博した。

 

IoT事例の概要

サービス名等、関連URL、主な導入企業名

 スマートホームサービスSpaceCore(スペース・コア)

 https://space-core.jp/

サービスやビジネスモデルの概要

 SpaceCoreは、スマートホームにおいて家電や住宅設備などをIoT機器として扱い、その操作・管理を行うクラウド型のソフトウェアサービスである。住宅の入居者向けには、さまざまな家電や住宅設備をワンストップで操作するサービスを提供している。また、不動産管理会社向けにはSpaceCore管理機能を提供している。この機能を使って、賃貸住宅の⼊退去者の管理をしたり、物理鍵の受け渡しなしに内見を可能にしたり、共有部をオフィスから監視したり、入居者とのコミュニケーションを行なったりと、物件管理を効率化することが可能になる。

ビジネスやサービスの内容詳細

 さまざまな家電や設備をIoT機器としてとらえ、IoTゲートウェイ機器経由でアクセルラボIoTプラットフォームに接続し、一元的に操作・管理できるようにしている。他社の提供する家電や住宅設備については、直接IoTゲートウェイ機器に接続するケースと他社のクラウドと連携して操作・管理するケースの二通りあるが、入居者はワンストップでスマートフォンから操作できる。また、賃貸住宅の管理など不動産管理会社のサービス提供に必要なIoT機器についても、IoTゲートウェイ機器経由でアクセルラボIoTプラットフォームに接続し、一元的に操作・管理できるようにしている。また、賃貸などの情報管理やIoTゲートウェイ機器の制御は、アクセルラボIoTクラウドの中の管理システムで実施しており、このシステムはAPI注1を設け提供している。(図1、図2参照)

 注1:アプリケーション・プログラミング・インタフェース(Application Programming Interface)の略。ソフトウェアやプログラムやWebサービスの一部をオープン化し、他者に活用してもらうために設ける。

 SpaceCoreで提供する主なサービスは、ホームコントロール、セキュリティ、ペット/家族見守り、エネルギーマネジメントの4つである。これらのサービスの開発・提供にあたっては、入居者のニーズを重視している。例えば、ホームコントロールでは、宅内・外出先からスマートホームを操作したり、帰宅後にワンアクションで家電をすべてONにするなど一括で操作したり、スマートスピーカー経由で音声操作することができる。セキュリティでは、ドアや窓に不審な開閉があったら即座にアプリに通知し、センサーやカメラで状況を確認する、自宅周辺の不審な動きをチェックするなどが可能である。

図1:SpaceCoreがワンストップ操作を可能とする家電や住宅設備の例
(出所:アクセルラボ提供資料)

 

図2:SpaceCoreシステムの概要と機能(出所:アクセルラボ提供資料)

 

取り扱うデータの概要とその活用法

 家電や住宅設備とIoTプラットフォームの間で家電や住宅設備の状態監視や操作などのデータ、監視カメラなどの映像データなどを取り扱い、スマートホームサービスで活用している。また、不動産管理に必要な機器の操作などのデータ、監視カメラからの映像データなどを取り扱い、不動産管理サービスで活用している。

 

事例の特徴・工夫点

IoT等による価値創造

 SpaceCoreによってセキュリティが向上する、暮らしが便利で快適になるなど、住宅価値が向上することが認識され、例えば賃貸住宅では家賃水準の向上や空室期間の減少などにつながっている。また、住宅価値の向上は、住宅販売の容易化につながっている。

IoT導入や事業化時に苦労した点、解決したハードル、解決に要した期間

 最初は社員に使ってもらって課題をあぶり出し、サービスの改良や機器の改善を行った。また、入居者の声についてもアンケートで収集し、サービスの改良や機器の改善に活用した。また、当初はIoT機器を自前で開発していたが、技術進化の速度についていくことが難しいと判断し、IoTプラットフォームの方に専念することとした。あわせて住宅設備のメーカとの協力を推進し、多くの住宅設備をSpaceCoreのサービスに取り込むことができた。

重要成功要因

 機器やサービスを提供するだけでなく、住宅の販売や賃貸に関わっている会社の方々に対し、勉強会を開催する、説明資料を作成する、映像資料を提供する、問い合わせに対応するなどの取り組みを行い、入居者にSpaceCoreでどのようなことができるのか、スマートフォンの設定や操作をどのように行うのかを説明し、実際に設定・操作できるようになってもらった。これが当社サービスの価値を認識してもらい、利用を促進する上で大きな効果があった。

技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの

 アクセルラボIoTプラットフォーム(alie+)は自社で開発した。IoTゲートウェイ機器との連携で、メーカが異なる数多くの家電や住宅機器にサービス提供を可能とし、それらの機器の操作を行なったり、ログを蓄積したりしている。また、これらの機器同士を連携して操作する、設定にそって自動的に操作するなど高度な機能を実現している。

今後の展開

現在抱えている課題、将来的に想定する課題、挑戦

 スマートホーム関係の通信規格の標準化が進展しており、スマートホームの普及が進むことを期待している。その中で新たな価値をどう創出するかを考えている。

技術革新や環境整備への期待

 スマートホームの共通規格「Matter注2」によって、乱立するスマートホーム関連の通信規格が統一され、異なるメーカの家電や住宅設備の接続が容易になり、よりスマートホームが世の中に広まる契機となることを期待している。

 注2:Apple、Google、AmazonをはじめとするアメリカのIT企業550社以上が参加している無線通信規格標準化団体(Connectivity Standards Alliance:旧ZigBee Alliance)が策定したスマートホームのためのIoT共通規格。異なるメーカのスマート家電を相互に連携することが可能になり、スマートホームの推進に貢献すると期待されている。

強化していきたいポイント、将来に向けて考えられる行動

 SpaceCoreの仕組みやサービスは、家電や住宅設備以外にも活用できると考えている。スマートホーム以外のサービスの展開、それからIoT機器やシステムのセキュリティをさらに強化していきたい。

将来的に展開を検討したい分野、業種

 スマートシティのような街づくりに参画したい。

 

本記事へのお問い合わせ先

株式会社アクセルラボ 広報担当

e-mail : pr@accel-lab.com

URL : https://accel-lab.com/jp/​​​​​​​